前歯の破折や変色歯の治療を行う場合、治療に先立ち、きちんとした検査を行うことが、後々のトラブルや、歯の病気の再発を防ぐことにつながります。
写真の状態が起きた原因は、不正咬合の影響が大きいと考えられます。
下の歯並びの悪さと、上下の歯のかみ合わせの悪さが、左の前歯の神経を損傷し(咬合性外傷)、歯の神経が壊死し、その後、壊死した歯の神経(歯髄)の中のヘモグロビンが酸化し、歯を黒く変色させ、さらに咬合性外傷が継続して、その歯の損傷を続け、強い咬合力がかかった時に歯の破折を引き起こしたと考えられます。
そのため、もし、その歯の神経の治療(根管治療、歯内療法、歯の神経の治療)を普通に行っても、術後の治癒、予後が悪くなったり、咬合性外傷による歯の損傷が継続し、さらに、外傷性咬合による歯周病(歯槽膿漏)も引き起こすことにつながる可能性が高くなります。
そのため、専門的には、治療に際しては、現在の歯の病気(歯の問題)を改善、治療する共に、現在の歯の病気(歯の問題)を引き起こした原因も、根本的に治療しておくことが望ましい治療になります。
まずは、きちんとした歯の神経の治療(根管治療、歯内療法、歯の神経の治療)を行います。その際、歯の根っこまで、変色した歯のホワイトニングも、見えない基礎治療として行っておきます。
その後、前歯の破折や、変色を引き起こした、不正咬合、不正歯列を、歯列矯正、矯正歯科治療で治します。その際に、いったん矯正治療中もなるべく審美的に治療できるよう、矯正治療用の仮歯を入れておきます。
矯正治療が終わった後、しばらく歯の保定を行います。
この状態で、根本的な治療が完了し、最終の審美歯科治療を行います。
本来の患者様の口元や歯の固有色を再現して、あえて、セラミッククラウンに色付けを行い治療を完了します。
術前と術後の口元の比較です。
これで、今後のお口全体の問題の予防治療も含めた治療が行えました。
歯の根の治療(根管治療、歯内療法)を長期間受けていたが、症状が改善せず、当院にて、根管治療を希望して来院。
2015年12月10日 初診時レントゲン
2015年12月10日初診時口腔内
2015年12月10日 初診時CTにて、右上顎洞(右の副鼻腔)に不透過像がみられ、炎症症状が拡大していることがわかった。
前後面のスライスCT画像
左右面のスライスCT画像
2015年12月22日 当クリニックにて根管治療の再治療開始
2016年1月22日 根管治療の術直後確認レントゲン(根管治療3回目のアポイント時)
2016年2月5日 術後経過確認時のCT画像
右側の上顎洞の炎症(粘膜の肥厚)が消失し、自覚症状も消失した。
左右面のスライスCT画像
前後面のスライスCT画像
このように、蓄膿(上顎洞炎)の治療には、歯が原因の歯性上顎洞炎と、鼻が原因の鼻性上顎洞炎との鑑別診断が重要で、更に、その症状が、歯が原因の歯性上顎洞炎の場合、適切な、根管治療と、根管治療と抗菌剤の投薬、抗菌剤の投薬のみ、などの適切な治療法の選択で治療することが可能です。
虫歯や歯周病が、蓄膿の原因となることがあることは、歯性上顎洞炎という言葉が知られるようになってきて、認識が高まってきましたが、その、診断、治療、評価の方法も様々な変化が見られるようになってきました。
術前の口腔内
右上奥の歯ぐきに痛み程でもない腫れと違和感がある
歯の根の病気が原因のようであるが、精密な検査が必要
CTにより症状の原因と状態が確認でき、確定診断が可能になる。
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レントゲン診断の欠点、デメリットとして、症状を読影するための陰影(像の重なり)や基本的に硬組織(骨のみ、炎症像などは白く曇る程度、また、曇りがみられるときは症状が進んでいるときが多い)
この場合、虫歯が原因で歯根嚢胞、歯性上顎洞炎の初期症状がおこっている。
更に、コンピューター解析による歯と歯周組織の状態を、よりリアルにビジュアル化して把握することができる。
歯を支える顎の骨も溶けており、通常の歯科治療では、歯を抜いて治さなければ治療できませんが、当クリニックでは、このような状態の歯を抜かずに、また、歯周組織の骨の再生による回復治療が可能です。
虫歯治療、根管治療を行った。
2回目のアポイント時
腫れは一回目の治療で治癒するように治療ができている
下の歯も、同じような問題があったため、歯を抜かなくて済むように治療
内部の虫歯除去が必要
内部の感染牙質除去と、不良な根管治療の再治療
内部の感染牙質除去
治療後の定期健診時(初診時から4か月目)
治療後の定期健診時(初診時から4か月目)のCTによる治療評価
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歯周組織の骨も再生して、歯がしっかりし、きちんと噛めるようになりました。
根管治療(歯の根の治療)を受けたにも関わらず、痛みが続くため、根管治療の専門治療ができる歯科医院を探して、当院に来院されました。
初診時の、レントゲンで、歯根膿瘍、根管内の器具の破折、歯石、歯垢の付着による歯周組織の問題などがみられましたが、根管治療の再治療で症状が改善できると診断し、治療を行いました。
初診時の状態
虫歯、歯髄(歯の神経)の感染、壊死組織、根管内破折器具がみられました。
虫歯になっていいない歯質はなるべく削らずに、複雑な形態の歯髄(歯の神経)を適切に治療しながら、根管内破折器具も除去し、ました。
その後、根尖の歯根膿瘍を治療しました。
根尖の歯根膿瘍(歯根嚢胞)を治癒させ、歯の根の保存剤を入れ根管治療を終えました。
歯をなるべく削らない、歯をなるべく残しながら、なおかつ虫歯や感染牙質の取り残しはないようにきちんと治療し、歯を元通りの丈夫な歯に回復するように治療しましした。
丈夫で、審美的なセラミックの歯できれいに回復し、咬み合わせのバランスもいい状態で治療を終えました。
歯根嚢胞による歯の喪失、抜歯、骨欠損を避けるために、根管治療(歯の根、歯髄治療、歯内療法、歯の神経治療)はとても重要な治療になりますが、その治療の成否を正確に評価するために、従来のレントゲンによる、診断、治療評価のほかに、CTによる方法が、より優れている場合があります。
CTのデータをコンピューター処理により3次元評価できるようにした画像です。
上のCT画像3次元処理の画像です。
レントゲンで認められた下の前歯の歯の根の先にある病変の状態がわかりやすく観察できます。(下の前歯の根の先の顎の骨が穴が開いたようになっています。
術後6か月目の定期検診時のレントゲンです。
歯の根の先の病変は縮小傾向にありますが、まだ消失していません。
術後10か月目の定期検診時のレントゲンです。
歯の根の先の病変は更に縮小傾向にありますが、まだ消失していません。患者様の年齢を考慮しても、通常はこれぐらいの期間で、治癒するか、消失して完治しますが、レントゲンではまだ、治癒していないようにも見えます。
CTによる評価です。
術前のCTと見比べるとかなり治癒してきているのがわかります。
更に従来のCTは、最新のコンピューターデジタル処理により、より有効な、治療評価をすることができます。
術前のCTによる嚢胞の大きさの計測(画像をクリックすると拡大)
術前のCTによる嚢胞の大きさの計測(画像をクリックすると拡大)
術後のCTによる嚢胞の大きさの計測(画像をクリックすると拡大)
術前のCTによる嚢胞の大きさの計測(画像をクリックすると拡大)
正確に治癒傾向を確認できる。
インプラントの治療の経験済み(他医院)の患者様が来院され、歯の根の付近の違和感を自覚症状とされていました。
レントゲンや、その他の診査で、矢印の部分の根尖病巣が原因であると考えられました。
この際の治療前の診断として、この根尖病変が真ん中の歯が原因なのか、左側の歯が原因なのか、右のインプラントが原因なのかも診断しなければなりません。
しかし、このレントゲンでは、根尖病変が右と真ん中の歯の間にあり、どちらが原因か判断しなければなりません。
右のインプラントは、問題ないと判断され、真ん中の以前の根管治療が問題は、根管治療による保存剤がきちんと入り、前医の根管治療が丁寧にされていたことがわかります。しかし、側枝と呼ばれる、歯の根(歯の神経)の解剖学的複雑な根管形態による原因と、差し歯の土台(コアー、支台)部分やクラウンの隙間と虫歯が原因と考えられました。また、右の歯は、歯と歯の間の虫歯の治療部分の虫歯と、その以前の虫歯治療による詰め物の化学的刺激が原因となり、感染根管(根尖性歯周炎)が根尖病変の原因になっていることも噛んげえられます。
結局そのような場合、診断をより確実にするのに、レントゲンの角度を変え、正確に診断したり、CTによる検査もいい方法になります。
術後
結局真ん中の歯の根管治療の際治療を行い、右の歯の神経を抜かずに治療を行って、根尖病変を治癒させました。
歯科の治療も、歯を抜かない、削らない、歯を残す、歯の神経を抜かない、などの治療を行うには、様々な検査や経験、診断、治療技術を合わせて行う必要があります。
根管治療(歯内療法、歯の根っこの治療)の際に、治療とおなじく大切な治療が、レントゲンによる診断になります。
一般的に、歯の治療でレントゲンを撮影されることは、普通のことですが、そこから読み取れる情報をより多く、より深く、診ることによが、治療の質の向上につながり、治療技術の差になります。
レントゲンの撮影においては、今日では、ほとんどの歯科医院でデジタル化が進み、一般的に銀塩カメラ(フィルムカメラ)がなくなり、デジタルカメラに移行していったように、デジタルレントゲンがほぼ普及しています。
このレントゲンのデジタル化によるメリットとしては、何より、レントゲン撮影のための放射線量を極端に(約4分の1~10分の1)減らすことができることが挙げられますが、もう一つ、現像状態の差やムラによる画質のバラつきの影響を受けない、現像処理が終わるまでの時間が短縮でき、スピーディーに診断が可能になり、その分じっくりとレントゲンを診ることができる。
また、デジタルレントゲンの特徴として、コンピューターでの、画像処理で更に、鮮明に解析することができます。
最新の歯科治療では、CT検査の歯科への応用と、コンピューターの進化による、画像処理技術がにより、より、リアルに、より正確に様々な病気の早期発見に貢献することにより、早期治療による、歯とお口の健康管理に役立っています。
口腔内所見では異常が認められず、自覚症状もない。
レントゲンにより、4本すべてに根尖病変が認められる。
(画像をクリックで拡大)
レントゲン同様、大きな根尖病変はみられるが、それが、鮮明に確認でき、更に、レントゲンでは、上顎洞粘膜が炎症を起こしている場合、白く曇る程度で、読影がむずかしい粘膜等の軟組織の読影、診断が容易である点がCTが圧倒的に有効な診断検査であることがわかる。
上顎洞粘膜の炎症はみられないため、上顎洞炎(蓄膿症)の心配は、現在のところないことがわかる。
北山吉川歯科クリニックでは、最新のCT設備と、コンピューター診断設備により、その場で、正確な診断が可能です。