小児の精神的な発育発達

小児の精神的な発育、発達は、Bridgesによると生後3か月ごろより、快、不快が分化し、6か月ごろより、不快から、恐れや怒りが分化し、5歳ごろに著しく情動の分化が発達すると言われている。

小児の成長発育について

(Robinsの図)

一般的な年齢における、全身と頭部のバランスの変化は、Robinsの図を用いられることが多く、おおよそ下記のようにあらわされる。

年齢新生児2~4年4~7年11~15年15~25年
身長と頭部の割合4:15:16:17:17~8:1

 

 

小児の顔と顎の成長発育について

511  図1

頭の成長発育について

頭(頭蓋骨)の成長は脳の発育と非常に深い関係にあり、また、顔面部の発育と比べると、非常lに早く、新生児で成人の約60%が完成し、その後、2歳までの間の成長スピードはかなり速く、また、6歳で成人のほぼ80%が完成し、その後、およそ、身長の伸びが止まる時期まで10年ほどかけて、完成する。

上顎の成長発育について

上顎(上顎骨)は、3歳前後までが、成長量が多く10歳ぐらいまでは、下顎より、成長量が多く、成長スピードが早い。その後は成長量と、成長スピードが緩やかになる。

また、上顎の成長方向は、前下方向に成長し、高さや深さが増してくる。幅の成長はそれらと比べ比較的少ないので、矯正装置で、顎を広げてあげることが有効な治療法として使われます。

このことは、10歳までに下顎前突(受け口)気味であれば、下顎が上顎の成長を抑制(妨げる)し、上顎の劣成長気味の顔貌になりやすく、歯並びのための矯正というよりは、顔貌の発育のための矯正治療が主な目的になり、また、必要になると考えられる理由です。

 

下顎の成長発育について

下顎(下顎骨)は、10歳ぐらいまでは、上顎より、成長量は少なくく、成長スピードも遅いが、思春期になると、成長量と、成長スピードが多くなり、特に男子は13歳から16歳ぐらい、女子は少し早く、12歳から14歳ぐらいである。

このことは、小学生が、出っ歯のように見えても、成長と共に、正常な口元になることが多いのは、それが理由で、また、その時期に下顎前突(受け口)気味であれば、その後は、更に受け口の傾向が強くなることも予測され、矯正治療でコントロールできるのか、あるいは、骨格的な成長を見届けなければ、治療の安定が難しくなるか判断する必要あります。

手のレントゲンによる骨年齢の把握

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矯正治療においては、実際の年齢(歴齢)と、骨格的な成長の年齢(生理的年齢)を把握する簡便かつ有効な診断方法として、手のレントゲンを参考にして、矯正治療の時期、タイミングを考慮するのに役立てます。

 

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手のレントゲン検査の意味、目的、方法、メリット、デメリット

意味

実際の年齢(歴齢)と、骨格的な成長の年齢(生理的年齢)を把握する簡便かつ有効な診断方法

目的

矯正治療の時期、タイミングを考慮するのに役立てます。

方法

左右どちらか片方の手のひらをレントゲン撮影します。

メリット

レントゲンの撮影が容易。

エックス線の被ばくに対して小児のお子様などに対しても安全な部位である。

デメリット

歯科保険の適応外になる。(当クリニックでは矯正検査の費用に含まれています。)

実際の診断の方法(診断の応用方法)

手のひら部分の骨の数(手根骨の骨核の数)・・・年齢の平均状態と対比

骨と骨の隙間(骨端線の消失)・・・年齢の平均状態と対比、隙間、幅の大きさから成長を予測

親指の内側の骨の有無(拇指尺側種子骨の出現)・・・出現時期の少し前から同時期に骨格的な成長が盛んになるため、顎の成長が予測できる。

歯の神経を抜かないための予防治療(中心結節の保護)

歯の先天的な奇形のために、歯の神経が虫歯や、歯槽膿漏でなくても抜かなければならない状態になることがあります。

このような状況をさけるためにも、きちんと定期健診を受け、歯科医師にチェックしてもらうとともに、適切な処置を受けることで、予防的に歯を守ることができます。


後続の永久歯に中心結節と呼ばれる歯の突起がみられ、歯の神経に近い突起になっているようにみられる。


完全に萌出して、噛んで折れてしまう前に、周りをプラスチックの樹脂などで保護することで、歯の神経の損傷をさけることができる場合があります。

小児の埋伏正中歯の治療について

小児の前歯の生え変わりの時期に、永久歯の前歯が歪んで生えてきたり、なかなか生えてこなかったりしたときは、埋伏正中歯または、埋伏過剰歯が原因であることがあり、かかりつけの歯科医に相談し、レントゲンなどで、きちんとした診察を受ける必要があります。

初診時、右の永久歯前歯が、生え変わっていません。

レントゲンで診ると真ん中に埋伏正中歯(埋伏過剰歯)があり、それが、後続の永久歯前歯の萌出、生え変わりを妨げていました。

埋伏正中歯(埋伏過剰歯)は、お子様の年齢や、発育状態を考慮し、最適な時期に抜歯治療ををしなければなりませんが、基本的には、なるべく早めに発見された状態で、抜歯をするのが、後の悪影響や、矯正治療の負担減になります。

ただし、小児歯科治療の際の、原則で、小児期に、歯科医院のイメージが、良いものになるように心がける必要があります。(お子様の場合、成人の患者様よりも、治療には、意外と、適応、順応性がよく、麻酔を使った、虫歯治療や、根管治療、抜歯治療も、一度、うまく克服、完了してしまえば、治療を受ける自信がつき、マイナスイメージが残ることは少ないものです。)

 

手術をより安全に、なおかつ迅速に行うために、このような場合は、小児であっても、CTを撮影します。(歯科用CTは、コーンビームタイプのため、医科用CTの約20分の1の線量)

レーザーを用いて、なるべく無痛、無出血の手術を行い、なおかつ、後続永久歯が萌出しやすいよう開窓術の状態で、傷口を縫い合わさないようにします。治療は、わずか3分程度で終わります。

 

 

術後7日目の状態です。

後続永久歯が、きちんと萌出してきています。あとは、最適なタイミングで、簡単な矯正装置で、真っすぐの正常な位置に治せば、その後の影響も見られず、正常な発育状態になります。

 

乳歯の根管治療のポイント

乳歯の根管治療は永久歯と比べると以下のような違いがあります。

  • 乳歯の歯の根は湾曲している傾向にあることと、歯の根が永久歯との生え変わりで吸収していることがあり、レントゲンで根の長さと形を把握することが重要です。
  • 乳歯の根管治療は、永久歯のように、根尖病変や歯周組織を治癒させることよりは、後続永久歯の発育成長を妨げないことが重要な要素になる。
  • 乳歯の根管治療が適切に行われない場合、後続永久歯の形成不全や発育不全が起きることがあり、長い将来の永久歯の健康を保つためにも、とても重要な治療になる。

乳歯期の受け口(反対咬合)の治療装置

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お子様の「受け口」=反対咬合を治療する装置があります。この装置はフレンケルと呼ばれ、なるべく長い時間はめてもらうことによって治療期間が短縮されて効果も確実に上がります。そのため、お子様ご本人の協力も得られるよう、好きなキャラクターを聞いて、オリジナルに制作したものです。

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治療前のお口です。

 

 

 

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治療後のお口です。
簡単な装置で「受け口」=反対咬合を完治させることができました。小学生くらいの年齢ならば、早期に治療を行なうことで、お顔の形の発育も正しく矯正する効果があります。